2019.09.05

3つのキーワードで探るドイツ車クラシックカーの魅力(前編)

電子制御の介入が少ないことが「ダイレクト」な感覚を生み出す

「クラシックカー」という言葉に明確な定義はなく、多分にイメージ的なものではある。とらえ方には個人差も大きいので、ここでもあえて定義はせず、見た目にしても中身にしても最新型車とは同列に語ることのできない「古いクルマ」というくらいの認識から始めたい。逆に話が進むうちに、今なお魅力ある「クラシックカー」とはどういうものかも明確になってくるだろう。今回取り上げるのはドイツ車のクラシックカーである。

近年は日本国内にも「クラシックカーブーム」と言える状況があって、趣味で国産旧車に乗る人が増えている。しかしながら、海外の状況を見ればクルマを趣味とする人たちの層は日本国内とは比べものにならないくらい広く、誇りを持って古いドイツ車を所有している人は多い。日本国内でも輸入車については以前から旧車を愛好する人たちは一定以上いて、街中ですれ違うことや高速道路で見かけることも少なくない。なぜ多くの人がジャーマンクラシックに魅力を感じ、維持し続けているのか。昔からの憧れなど情念的な部分が大きいことは確かだが、それだけはない何かがそこにはある。

その何かを探る1つ目のキーワードとして取り上げるのは「ダイレクト」。ダイレクトとは、そこに何も介入していない感覚であり、それがジャーマンクラシックには色濃く存在する。構造的に見るとそれがよく分かる。



現代のクルマは、エンジンのスロットルバルブとアクセルが機械的に繋がっているわけではない。エンジンは高度な電子制御によってコントロールされており、アクセルの開度との連動によって燃料の噴射量や排気の調整、横滑り防止装置の作動などが統合されている。アクセルペダル自体がセンサーになっているクルマもあり、足で踏み込んだことを感知すると、その信号をコンピュータに送る仕組みになっている。

一方、ジャーマンクラシックの多くは、アクセルがワイヤーかロッドで直接スロットルバルブと繋がっている。踏んだぶんだけ加速する、なんて言われることがあるが、電子制御に比べると、アクセルにおけるフィーリングはダイレクトだ。もちろん近年の電子制御は普通に走っていてその介入を感じることは少なくなったが、前述した制御の仕組みを知ると「クルマに乗せられている感」を覚えることも多い。クラシック世代のドイツ車をよく知る人ほど、その違いに気づきやすいものだ。

■GERMAN CARS 2019年8月号 掲載記事より抜粋

PICK UPピックアップ

SPECIAL

RANKING